2020年4月リリース。
台湾の大手飲料メーカー黒松が1950年に発売した国民的炭酸飲料「黒松沙士(ヘイソン・サーシ)」。
1988年に台湾の男性ポップシンガー張雨生(チャン・ユーシャン)の「我的未來不是夢(僕の未来は夢ではない)」が黒松沙士のCM曲に起用されてヒットしました。そして今年(2020年)、EggPlantEggが黒松沙士のイメージキャラクターに選出され、同曲をカバーすることになりました。
張雨生は1997年に交通事故が原因で31歳で亡くなっています。美しい高音が出せる歌手でした。
EggPlantEggはどう思いながらこの名曲を編曲したのでしょうか。
今年滿 30 歲的三人重新詮釋一首 32 歲的歌曲,他們是如何思考編排的?阿斌說,前面是有力道的古典,像是對世界的呼喊;阿任說,副歌的節奏充滿動力,像是讓人一直往前進;阿德說,最後把音樂收起來,像是在耳邊的呢喃。過往創作音域較低的阿斌,最後也選擇不降 key,保留〈我的未來不是夢〉的高亢熱血。
阿斌「最初は世界に向けて叫ぶように力強く」
阿任「サビはまっすぐ前に進むようにリズミカルに」
阿德「最後は耳元で囁くように曲を終わらせる」
もともと低音の阿斌ですが、最終的にはこの張雨生の高音域を踏襲してキーを下げずに原キーで歌うことに決めたそうです。
EggPlantEggのメンバー、このイメージキャラクターを務めることをインタビューでも自身のSNSでも「受寵若驚 shòuchǒngruòjīng= 身に余るもてなしや待遇を受けて驚き喜ぶこと」と表現していました。70周年の国民的飲料、多くの台湾人が子供のころから親しんできた商品ですから、その喜びは日本人の私には計り知れないものなんだなと思いました。
楽曲の話に戻しますと、1980年代の台湾、この曲では労働者たちが汗を流して夢のために働く姿や台湾の経済的発展への原動力となった当時の人々の姿が描かれています。
1988年のCM動画がありました。2020年版では当時のシーンや衣装が見事に再現されていることがわかります。張雨生によるオリジナルのMVも続いて見られます。
MVは「請問你敢欲做我的Girlfriend」を担当したJeff監督によって製作されました。
導演設定了「壞的事情會過去,好的事情我們持續努力」的主軸,串連了台灣一路走來六段難忘的歷史事件,並與黑松沙士當時代的 slogan 扣合,無論哪個年紀的台灣人看了,都會非常有感觸。
MVのコンセプトは「悪い出来事は過去になる、良い出来事は続くように努力しよう」だそうで、これまでの台湾にとって忘れがたい歴史的な出来事をピックアップし、それぞれ当時の黒松沙士のスローガンも合わせて表示し、どの年代の台湾人が見ても感動できるように作られています。
EggPlantEggにとっては2003年のSARSが一番印象に残っている出来事だそうです。ちょうど今(インタビューは2020年5月)新型肺炎で同じような状況なので、SARS当時はまだ小さくてよくわからなかったけど、当時の社会がどのようになっていたのか今はよく理解できるとのこと。
このインタビュー記事、面白いです。中国語が読める方は是非全文を。当ブログでは楽曲とMVに関わるごく一部しかご紹介していません。
「負けるのはいつものこと、昨日の自分に勝てたらすばらしい。」
最後に私はYouTubeの概要欄の中、楽曲制作陣のクレジットに注目しました。
改編曲 Arrangement:茄子蛋 EggPlantEgg
鍵盤/主唱 Keyboard, Vocals:黃奇斌 Ki-pin Ng
吉他/和聲 Guitar, Backing Vocals:蔡鎧任 A-ren Tsai;謝耀德 A-der Hsieh
合成器/貝斯/鼓 Synthesizer, Bass, Drum :黃奇斌 Ki-pin Ng;鍾濰宇 Yu
この引用部分の最後の行、ベースとドラムにいつものサポートメンバー(逄捷 Pang Chieh、潘維瀚 Pan Wei Han)の名前がありません。プロデューサーの鍾濰宇と共に阿斌の名前がありますが、阿斌、シンセサイザーとベースとドラムのどれを担当したのでしょうか。キーボードと二胡以外にもいろいろできるんですね。こういう部分まで注目すると音楽を聴くのがもっと楽しくなります。私は楽しいです。
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2020年9月16日更新